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ゲーム『戦国オンライン』の大きな特徴として、「個人戦且つチーム戦」という点が挙げられる。
50人のプレイヤーはマッチング時、2人×25チームにランダムに振り分けられ、ゲームに付随した音声通話機能でパートナーと連携を取ることができるようになる。
対戦中、体力ゲージが無くなればそのプレイヤーのアバターは行動不能となるが、パートナーさえ生き残っていれば残りチーム数に応じて得点が加算される。
これはゲームシステム上「TEAM point」と呼ばれる。
世界ランキングを決める得点はこの「TEAM point」と、個人が倒した数「KILL point」の合計で決まる。
そのため高得点を得るには自らが敵を倒すのと同時に、自分かパートナーができるだけ長く生き残る必要があるのだ。
要するに、パートナーは強ければ強いほど良い。
そして長信のパートナーは暫定ランク4位と長信に引けを取らないほどの腕利きプレイヤーであることが窺え、彼のガッツポーズはこうした事情から出たものだった。
「ヒデミツさん初めまして! よろしくお願いします!」
「こちらこそ宜しくお願いします! ナガノブさんのような高ランクの方とご一緒できて光栄です!」
早速通話機能で話しかけると快活な返事がきた。礼儀も非常に正しく好感が持てる。
軽い自己紹介を終えたタイミングでちょうど、ゲーム画面も対戦のローディングに入った。
対戦開始直後。まだ装備をほとんど持たない丸腰の状態で敵と遭遇した。慌てて障害物に隠れるが、敵はすでに長信にロックオンしライフルを構えている。これでは動けない。
がその時、敵とは別方向からの連続した銃声。一発鳴るごとに長信を狙っていた敵の体力ゲージは瞬く間に減り、そのままあっさり倒されてしまった。
鮮やかな手際に驚いているとヘッドホンからヒデミツのダンディな声が届く。
「ナガノブさん! 助けに来ました!」
辺りを見渡すと、いかついマシンガンを持ったプレイヤーがこちらに近づいて来た。端正な顔立ちのイケメン(のアバター)だ。
「ヒデミツさん! ありがとうございます!」
「いえいえ! 来る途中にいくつかアイテム拾ったんで、良ければお裾分けしますよ」
明らかに対戦慣れした動きに気の利く対応。今まで組んだ誰よりも頼もしい。
ヒデミツとならば必ず天下を取れると長信は改めて確信する。
その後、彼と協力しながらサクサクと装備を揃え、ものの数分で他プレイヤーの本丸に攻め入る準備が整った。
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