3月

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[4日]  起床、朝の8時45分。洗顔後、台所の電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、インスタントコーヒーを淹れた。おやつカンパニーの「バター香るミニシュガーラスク」をばりばり齧りながら、熱いやつを飲んだ。  居室へ二杯目を運んだ。愛機起動。ぴよ将棋を呼び出し、レベル17のひよえと指した。俺にとって、ひよえは強敵だが、時々をする。まるで、こちらを「勝たせてやろう…」としているかのようだ。  例のごとく、蛮族同士の斬り合いになった。4八と5八に生角(なまかく)を並べて詰めた。御存知だと思うが、将棋の角行(かくぎょう)とチェスのビショップはまったく同じ性能である。飛車とルークも同じだ。但し、将棋には「成る」という弱点補強ルールがある。角行は竜馬(りゅうめ)に、飛車は竜王に進化する。竜馬の略称は(うま)だが、桂馬と混同しやすいので(初心の方は特に)注意が必要である。もっとも、相当指し慣れている筈なのに、平然と「馬」と呼んでいる(プレイヤー)もいるが……。  施錠後、部屋を離れた。数日分の衣類を担いで、近傍のコインランドリーへ足を進めた。一番安いマシンが空いていた。貧民代表の俺には、嬉しい展開と云える。扉を開けざまに、担いできたものを放り込んだ。お湯洗いのコースを選び、指定の金額を投入した。終了まで、約30分かかる。部屋に戻り、露台の竿に吊るす。  翌日(つまり今日)は8時起床。カーテンを開けると、窓ガラス越しに青空が見えた。その瞬間、を決めた。身支度と戸締りを済ませた。交通機関は使わない。自分の足で目的地へ体を運び、自分の足で部屋に帰ってくるつもりである。詳細な地図が手元にあるので、迷うことはないと思うが、油断はできぬ。  道中、蕎麦屋兼食堂のような店に入った。券売機で冷たい蕎麦とカレーライスのセットを買った。前者の味も悪くなかったが、後者が旨かった。いかにも「蕎麦屋さんのカレー」という感じがして、俺を喜ばせた。こういう店が近所にあると、随分助かるのだけど。被写体に恵まれた幸福な一日を過ごした。 ♞本日の最終歩数36663/距離、約26キロ/消費カロリー1168 23d9bb54-54fc-4ffc-be39-a01e653669d5
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