5月

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[7日]  二十数年ぶりに、三國連太郎、左幸子共演、内田吐夢監督の『飢餓海峡』を鑑賞した。映写時間183分のミステリー巨篇。一場面一場面がとても充実していて、退屈屋の俺が少しも退屈しない。こういう映画も稀にあるのだ。後半には、三國容疑者VS高倉(健)刑事の大物対決が用意されている。撮影当時の年齢は、三國さんが40歳ぐらい、健さんは32歳ぐらいかな。どちらも立派な男だ。良い悪いは別として、今の40代、30代とは、貫禄も凄味も全然違う。  飢餓海峡は1964年に公開されている。勅使河原宏の『砂の女』と小林正樹の『怪談』も同じ年の公開だ。キネマ旬報のベスト・テンでは、砂の女が第1位を、怪談が第2位を獲得している。飢餓はなんと、である。審査員の頭を大いに悩ませるハイレベルの戦いが繰り広げられていたのだ。因みに主演男優賞は山村聡が、女優賞は京マチ子が受賞している。三國さんは同票3位。  布団を出て、寝室のカーテンを開けた。大型連休のラストはどうやら「終日冷たい雨」らしい。洗顔後、電気ケトルに水を足した。沸き立ての湯で、ドトールコーヒー社の「深みとコクのおいしい一杯」を淹れた。どら焼きを食べながら、熱いやつを飲んだ。愛機起動。エブリスタを呼び出し、へっぽこ写真を6枚投稿した。小休止のあと、エキサイトを呼び出し、草小説の転載をやった。  玄関のカギをかけてから、部屋を離れた。涼しいと云うより、寒い。このような天気の日に外出などしたくないが、今日中に済ませておきたい買物が幾つかあるのだった。部屋に戻り、腕立て伏せを80回。雑用の類いを片づけてから、三日分の髭を剃る。浴室に入り、温水をあびた。威儀を正し、相原コージの『うつ病になってマンガが描けなくなりました 発病編』(双葉社)を読む。 ♞トリスの軟水割り。肴は豆腐、焼きホッケ、ポテトフライ。飯は塩むすび。256c1cdf-c783-4c8a-a0f3-d87146a6a6d6 [8日]  新潮文庫を開いた。椎名誠の『「十五少年漂流記」への旅』を読み始めた。副題は「幻の島を探して」。終点下車。改札を抜けて、駅の中にある立ち食い蕎麦屋に足を進めた。店頭の券売機でカレーライスを買った。食後に冷水を一杯。地上に出て、職場まで自分の足で移動した。濡れた路面はつるつるしていて、まことに歩き辛い。このようなところで転倒を演じたら、いい笑いものだ。  入金機に買物カードを挿し込み、二千円分をチャージした。ケロニ屋に入り、クリームパンを買った。食堂の受け取りカウンターで、券とカップを交換した。壁際の席に座り、マスクを外した。隣席の海底原人(ラゴン)が、持参の弁当を使っていた。主菜は牛肉のプルコギ風。副菜は卵焼きと小松菜のじゃこ和え。仮眠場所の長椅子に腰をおろし、山本一力の『草笛の音次郎/回り兄弟』の続き。  十五少年の「小さくて多すぎるいやらしいものたち」の続き。椎名先生、初めてのキャンプは千葉の海岸。当時、小学六年生。数分遅れで地元駅に着いた。他者の歩行や通行の妨げにならないところから、弁当屋に電話をかける。応答あり。  家に戻り、オンザレディオを聴きつつ、腕立て伏せをやる。酒飯の後に『新 必殺仕置人/幽霊無用』を観るつもりである。敵役はモロボシ・ダンこと、森次晃嗣。 ♞酒はトリスの鉱水割り。肴はタコぶつとマグロのたたき。飯は海苔弁当。
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