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既に十分な名声を得ていたにもかかわらず、日々の苦労も多かった。 少年の頃、母親が手伝ってくれたように、今でも常に手助けが必要だった。 そうしなければ、左右で違った色の靴下を履いていてもわからなかったし、彼に間違いを教えてくれる人もいなかった。 オスカーには、肌の色がわからなかった。 彼にとって黒い(ブラック)とは“ノリがいい(ファンキー)”という意味だったし、白い(ホワイト)とは“詩的な(リリカル)”という意味だった。 オスカーは、自身が黒人であることを、誇りに思っていた。 「ブラックって、カッコいいからね!」 彼は、そう言って笑った。
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