いつものセットメニュー

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 僕は普段、テレビをあまり観ない。  時間をつぶすのは、ネットサーフィンとか音楽聴いたりとかが多い。世間のニュースはネットで情報が入るから、わざわざテレビのニュース番組を観なくても良いかな、って。ドラマも最近は追ってないな……高校の時は、流行った学園もののドラマを毎週観ていたっけ。懐かしいな。サブスクで配信されてないかな。 「えっと……五分前か」  僕はリモコンを操作してテレビをつける。スポーツ飲料のコマーシャルがやっていて、ああ、もう季節は夏寄りなんだなぁ、って思った。  新商品だっていう缶コーヒーのコマーシャルが流れ終わったところで十時になった。はじまる。観たことない『トーク・アクター』って番組。賑やかな音楽が流れて、僕でも知っているような、お茶の間の顔の男性タレントが画面に映し出される。 『では、本日のゲストは……』  番組の名前からして、俳優のトーク番組かな?  けど、これを観てくれって……あのお客さんは、いったい僕に何を伝えたいのだろう? 『今、世間の注目の的、松尾ミヤビ君です!』  キャー! と観覧している女性たちが悲鳴を上げる。  松尾、ミヤビ。知らない名前だ。世間の注目の的の人物を知らないなんて、僕、世間知らずすぎるかも……。  缶ビールをひとくち呑んでから、僕はテレビの画面をじっと見つめる。  そこには、スタイルの良い、金髪の人が映っていた。 「……あれ?」  見間違い?  僕、酔ってる?  おかしいな……。 『よろしくお願いします!』  テレビ画面の中で、笑顔で、手を振るその人は、どう見ても今日カフェで会ったお客さん、その人だった。
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