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「里奈! 何てことしてくれるの!?」
亜希のスマホが落ちた湖面に波紋が広がった。
「ごめん。また、あのおじさんが現れないかなと思ってさ」
「ああ、私のスマホが・・・」
ブクブクブク・・・。スマホが投げ込まれた場所から泡と霧が噴き出した。
「来たね!!」
「何あれ~!?」
例のおじさんが霧の中から姿を現した。そして言った。
「あなたが落としたのは金のスマホか、それとも銀のスマホか」
おんなじセリフ。でも、おじさんは右手に「私の」金のスマホ、そして左手に亜希のスマホを握りしめていた。
「おじさん、亜希のスマホを返してあげて! もちろん私のもだけどね!」
「もう一度聞く。『亜希』が落としたのは金のスマホか、それとも銀のスマホか?」
「私のは『レッド』です・・・!」
「亜希は嘘をつきましたね。スマホは渡しません」
「おい、おじさん!! 嘘じゃないでしょ!? おじさんがなにげに左手に持ってるレッドのスマホ、それ亜希のでしょ!?」
私が叫んでも何も言わず、おじさんは湖に消えていった。
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