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私たちは湖の畔に来た。
「実人君のスマホ、防水だよね?」
「俺のスマホも湖に投げ入れるつもり?」
「いえいえ、そんなことは・・・」
「それっ」
不意に実人君が白いスマホを湖に投げ入れた。するといつもの湖面から泡と霧が出て、おじさんが登場した。
「あなたが落としたのは『銀のスマホ』か『白のスマホ』か?」
おじさんのセリフがいつもとは違っていた。
「両方とも俺のだけど」
「えっ?」
「それでは、あなたに銀と白のスマホをお返ししよう」
おじさんは岸まで近づいて実人君に銀と白のスマホを渡した。
「どういうこと?!」
私は実人君に訊いた。
「俺もここでスマホを落としたんだ。銀のスマホをね。その時は、おじさんは現れなかったけど」
おじさんが袖から何かを取り出した。金のスマホだ。
「これは里奈にお返ししよう」
おじさんは私にスマホを返してくれた。
「おじさん。どういうこと?? 何で今さら・・・」
おじさんは何も言わず、いつものポジションに戻り、湖の中に消えていった。
「おじさん、ありがとう!」
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