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あつあつのフライパンに、玉子をじゅわり。黄味がぷるりと弾む。
目玉焼きをのっけた食べ物は、平和の象徴。みーちゃんがそう教えてくれた。みーちゃんはなんでも知っている。みーちゃんが知らないことは、きっと世界中のみんなも知らないことなんだと思う。
「ただいま、あーちゃん」
「おかえりなさい、みーちゃん」
朝、家をでたときよりも少しくたびれた顔に、てっぺんがぺたんこになった髪の毛。これはみーちゃんが外でお仕事をがんばってきたしるし。「化粧がすぐによれて、髪も肌もぺたぺたしてみっともなくなる」のが、みーちゃんの夏の悩みらしい。
いつもきれいにお化粧して、いつもきちんとした格好をするみーちゃんは、大人の女の人だと思う。お化粧だって、みーちゃんが気にするほどみっともなくはないし、そもそもみーちゃんはいつもきれいだ。お仕事用のメイクをしたキリッとした顔には惚れ惚れするし、お化粧を落としたゆで卵みたいにつるんとした顔には、なんだかほっとする。
「夕飯、ハンバーグつくってくれたの?」
みーちゃんはフライパンを覗き込んで、大きな目をきらきらさせた。
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