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○月×日(名前の真相はこれだ!)
先日フラヴィオさんとギネヴラさんの出産祝いに行き、生まれた娘さんの名前が母ちゃんとほぼ同じだったから、とてもびっくりしたんだ。
次にお会いした時に、真相を確かめたい。そう思っていたら、折よくマッテオが「改修工事でフラヴィオさんのお店にうかがうので同行してほしい」という話を持ちかけてきたので、一も二もなくうなずいた。
手が空いた隙を狙って、フラヴィオさんのもとへと向かう。
「あの、フラヴィオさん」
「よう、リカルド! 今日はわざわざありがとな!」
フラヴィオさんはヘレナちゃんをとても愛おしそうにだっこしていた。もう、すっかり父親の顔だ。
「その、この子の名前……」
「言ったろ。あやかれるように素敵な女性にちなんだものを付けようと思うって」
そう言って、フラヴィオさんはニヤリと笑う。やはり、俺の予想は的中していたようだ。
「でも、他にも候補、いろいろあったでしょう? いいんですか?」
俺の母ちゃんの名前にちなむって、関係性からいっても、微妙じゃなかろうか。
「お前ら絶対別れないから、問題ないと思ったんだよ。それに……ジュリエッタの大切な人は、俺にとっても大切なんだ。あいつには嫌な思いさせてきたと思うし、今までの罪滅ぼしみたいなもんだ」
やっぱり、ジュリエッタのこと大好きだよな、この人。あと、フラヴィオさんには俺が勝手になついてるだけだと思ってたけど、思っていたよりも義弟として大切に思ってもらえていたらしい。
ヘレナちゃんはやっぱりとても可愛かった。そして、フラヴィオさんのやわらかい表情を見て、すごくうらやましくなった。やっぱり子供っていいな。
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