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「だ、だめじゃないけど……その……今まで、不満だったの?」
「不満っていうんじゃないけど、もっとしたいけど明日仕事朝早いな、とか、もっとしたいけどもうジュリエッタ眠そう、とか、俺のしたいことよりすべきことを優先させてたら、なんか、我慢できなくなってきた……」
リカルドはいつも人のことばっかり優先しちゃうもんなあ、となんだか納得する。もしかして、お願いするのも、すごく勇気がいったのかも。
ちょっとうつむいてしまったリカルドの頭を、抱きしめるように胸に引き寄せる。
「もちろん、いいよ。ごめんね、いっぱい我慢させて。明日と言わずに、今夜から、しよ?」
「ジュリエッタ……」
頭をなでると、リカルドは気持ちよさそうに吐息した。
ああ、これ、セックスがしたいというより、甘えたいんだ、たぶん。
「遠慮しなくていいのに」
「……え?」
リカルドがびっくりしたような声を上げる。
「我慢しないで。好きなだけ甘えてよ。夫婦なんだし」
「……その……」
「リカルドを甘えさせられるのは、私だけの特権じゃない」
いつも人のことばっかりなリカルドが、少しでもリラックスできるなら。それはすごく嬉しい。
「……ええと。じゃあ、お言葉に甘えて……」
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