気になる女の子

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気になる女の子

最近、私のお店をよく覗いている高校生がいる。 私は、向井 涼音(むかい すずね)40歳。息子の蒼生が無事に高校生になったので、昨年より念願の小料理屋を経営。夕方から夜の0時頃にかけ営業のため、準備はお昼頃からしている。今では常連さんがつき、お店も軌道にのってきている最中だ。 本日は、薄黄檗色で裾に牡丹が描かれた着物に袖を通し、上から白の割烹着を羽織る。表玄関の換気をしながら準備を開始。お味噌汁を作っていたところで、ふと制服を着た女の子を見かけた。栗色のふわふわロングヘアで、アイドルグループにでも居そうな…芸能人にでもいそうな、そんな可愛い容姿をしている。 『あの制服…蒼生と一緒の高校かしら?』 女の子は、今にでも泣きそうな表情をしていた。そこで私は密かに、次にまた来ていたら声をかけようとしていたのだけれど… 「あのっ…」 声をかけた時には、既に女の子は踵を返していた。あの子は何故、私の店前までいつも来ているのだろうか。ゆっくりお話し出来たらいいのだけれど…。
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