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「母さん、何か身に覚えないの?」
今日は小料理屋、定休日。
息子の蒼生に女の子の話をした時に、そう聞かれたが「何も身に覚えないのよね」と、テーブルに頬杖をつきながら返事をする。
「けどさ、俺と同じ高校の制服なんだよね?その子…」
「蒼生は、身に覚えあったりする?」
「う〜ん…ただ、もしかしてって子はいる、かなぁ」
「え!?いるの!?」
「栗色のふわふわロングで、芸能人みたいに可愛いって…あの子しかいないかなって……って、何ニタニタ笑ってんの?」
蒼生がムスッとしながら、頬を少し赤らめる。
蒼生は、少し癖っ毛の黒髪センターパート、身長は既に私を抜き170㎝を越えようとしている。部活は、弓道部であり筋肉質ではないが、ある程度引き締まっている。我が息子ながら、かっこいいとは思うのだが(親バカかしら)女の子との噂は、聞いたことがない。その息子が顔を赤らめ話をしているのは、中々貴重だ。
「そのワードですぐに、その子だって思うことが出来るってさ、蒼生が元々、その子を気にかけているからじゃないの?」
うっと言葉に詰まる姿と同時に、更に顔が赤くなる。
「彼女は、周りの男子に人気だから嫌でも目に付くんだよ!!」
なんて、言いながら実際はどうなのかな?と、母親心で凄く聞いてみたい。けれど、ますます何故その子が私の小料理屋を除くのだろうかと思ってしまう。
「彼女さ…学校終わったらすぐに帰宅するし、他校に男がいるのかなんて噂もあるけど…俺、見ちゃったんだ。この前、帰宅途中に彼女と小さい女の子が一緒に歩いてるのを」
「小さい女の子…??」
「うん…彼女によく似てた。彼女の子どもにしては、大きいし。妹だとしたら結構、年が離れてるんじゃないかなぁ」
「ふぅ〜ん…」
けれど。
その理由は、すぐに分かることになる。
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