0人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
ひなき中学2年〜現在
その日は、雨が降っていた。空は薄暗く、じめっとした空気が身体に纏わりつく。学校から自宅への道のりを急ぐ。
帰宅後は、先にお風呂の湯を沸かし入る。時刻はpm16:30を過ぎようとしていた。
「そろそろ皆んな帰ってくる時間かな?洗濯物でも畳んでおこうっと。その方がこはるのミルクもあるから、お母さん助かるよね」
洗濯物を畳みながら、ふときこえた救急車の音
「…ウチから近いのかな…」
雨のせいだろうか。嫌な胸騒ぎがするのを気のせいだと思い込ませ、更にお米を研ぎ、こはるのミルクのお湯の準備もする。
ーが、pm17:00をまわっても一向に両親は帰って来ない。『何かあった?』と思うと同時に、先程きこえた救急車の音が脳裏をよぎる。
「…まさか、ね」
と、その時
プルルルル…プルルルル…
自宅の固定電話がなり出す。その電話の音がやたらとリビングに響き渡り、いいようのない不安に駆られる。震え出す手を何とか抑え、電話にでた。
「…一ノ瀬ですが…」
『一ノ瀬様のお宅でしょうか。一ノ瀬 遥様と潔子様のご家族の方ですか?』
「はい、そうです…」
声が自然と震える。
『私、市立◯◯病院の医者の××です。先程、交通事故でお2人運ばれて来まして、今すぐ病院へ来て頂けませんでしょうか』
最初のコメントを投稿しよう!