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桜吹雪が舞い、ほんのりと暖かい陽気を感じる日、私は無事に高校入学式を迎える。
「ひなき、制服似合ってるよ。べっぴんさんになったねぇ。潔子さんにそっくり。後で入学式に行くからね」
「ひな姉、可愛い!」
白地のYシャツに、紺色でタータンチェクのリボンとスカート、中には薄手の白いカーディガン、上着は薄茶色のブレザー。
中学までは濃紺のセーラー服なこともあり、制服が変わることに対して、何だか少し新しい自分になれた感じがする。
高校の校舎は、ここ数年で建て替えられた事もありとても綺麗だ。外壁は白く4階建。2つの校舎が向かい合い、3階と1階が渡り廊下で繋がれている。そして、校舎の間には中庭があり芝生がしっかり整えられている。周りには花壇が置かれ、色とりどりの花が綺麗に植えられている。生徒達が座るカフェ風なベンチやテーブルも設置されていた。
「素敵な校舎…」
高校見学のときにも思ったけれど、凄く綺麗で圧巻される大きさだ。学校の中には、食堂やコンビニもあるらしい。
「ひなき、ゆみ、私達同じクラスだよ!」
「えっ!?本当!?キャー!!凄いっ!」
「嬉しいぃ〜!!宜しくね、ゆみ、みゆき」
「こちらこそ」
ウキウキな気持ちで迎えた高校生活。
けれど、その年の冬。
積雪は例年より少ないが、気温は低い日が続いていた。路面も朝と夕にアイスバーンと化する、そんな日。
祖母が転倒し救急車で運ばれた。
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