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あの時、圧倒的な敗北感をくらった僕はそのまま立ち去った。そして、それ以来何も進展はなく・・・恋愛的なものとは無縁のまま、あっという間に高校2年生を迎えている。
また訪れた春。
新しいクラスに新しい机、新しいクラスメイト…なのに気分は晴れやかじゃない。
「あーー、最悪だ」
「風音ってば、まだ言ってんの?」
「いや言うだろ!何が悲しくてアイツと同じクラスなんかに…」
「まあまあ、仕方ねーじゃん。俺と一緒のクラスになれたんだからいいだろ?」
「…それは、そうだけど!」
そう、2年のクラスで、あの子の彼氏…零と呼ばれていたあの男と一緒になってしまったのだ。
あの時の、あの顔を忘れるはずがない。髪色はあの時と違う、ミルクティー色っぽくなってるけど絶対アイツだ。
あーーー最悪だ。
1年の時は2人ともクラス違うからよかったけど。
なんでよりによって、彼氏の方と同じクラスなんかに…!
「天罰かな…」
「なぁ!お前が何したって言うんだよな!」
「そのノリいいから、玉木…僕を慰めることに専念して」
「もうそろそろめんどい」
「ひどくない?」
強いて言うなら、よかったのは目の前の席のコイツ…玉木(友達)と同じクラスになれたことくらい。
「まあ、あの零君?だっけ。あの高身長イケメンに挑むなんて負け戦だわな」
「…慰めろっつてんだろ!」
「え?でもほら!風音はほら、優しくて温かい感じ?なとこがいい所だぜ!」
「傷えぐってんだよそれ!」
分かってますよ。僕は身長も170ちょっとだし。顔は男らしくないし
髪の毛も漆黒で直毛だしさ。
分かってんだよぉぉ!アイツに敵わないってことは!!
褒めるとこが優しくて温かいってなんだよ!
あいつは高身長イケメンなのに!
でもやっぱ同じ男として悔しいんだよ!
僕の初恋の女の子を既にモノにしてたって事実が!!(言い方)
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