零下3℃のコイ

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 高校1年の春、恋をした。  入学式が終わった後の昇降口。  その桜風が降る中に佇む、真っ直ぐ艶やかな黒髪をした綺麗な女の子。  でも好きになったその人には彼氏がいた。それは、すぐに分かった。  「あっ、あの・・・」  その子は、声をかけようとした僕に気づくことなく、向こうから歩いてきた長めの黒髪を目にかけた男の元へ名前を呼びながら駆け寄っていく。  「(れい)!!」  ショックか、衝撃か、僕はただその様子を呆然と眺めていた。  女の子は僕の存在に目もくれなかったのに・・・  「・・・っ」  なぜか動けなくて、目を背けれなくて。  だから、目が合ったって動けなかった。  なんでお前の方が気付くんだよ。  (れい)・・・そう呼ばれた男の目は僕を捕らえて、しばらくその視線から外れなかった一一一。
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