才能がひとつだけあるとしたら

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才能がひとつだけあるとしたら

自分の才能を生かせる仕事と、好きなことができる仕事は違う。 いつものようにコーヒーを大きめのカップに入れて、パソコンの横におく。 最近は深夜までパソコンをつけていることが多いので、画面の照明をなるべく暗くする。 深呼吸は、朝起きてすぐのストレッチで済ませた。 仕事中も呼吸はしているはずだが自覚はない。 手を動かして自分のうちこんだ字が連なる様子を見つめる。 時にはパソコンに映る時間を見て、取材時間までにすることを脳内で整理する。 「あくらにとってライターは天職やね」 母や友人がそう言った。 今はまだ天職なのかどうかわからない。 好きなことをする仕事より、自分の才能を生かせる仕事を見つけるほうがずっと難しいので、自分にとって前者であるライターの仕事を天職だと言い切ってしまうのは、おこがましい気がする。 私はライターになるまでに、またはライターになってから兼業で、いくつかの仕事をしてきた。
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