実を結ばない花 ―金木犀と神隠し5―

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「……わざとやってるだろ」 「心外だねえ。大事なきみを傷つけないように自制してるだけだよ」  ……嘘つけ。  二割くらいは本当かもしれないけど。  自分だって動きたそうに俺の腰掴んでるくせに。  じっとしていられると、じわじわ来て。  自分から動いてしまいそうで、それは悔しくて。  面白くないけど、振り返って物欲しそうに視線合わせて見上げた。 「なぁ、……早く、欲しい。あんたので俺の中ぐちゃぐちゃにして欲しい」  いい具合に掠れた声が出て 「……仕方ないね」 って頬緩めたと思うと、中で熱がずるりと動く。 「っ……」  ほら見ろ。  こっちはどうねだったらいいか、ちゃんと分かってるんだからな。  最初だからまだゆるく浅くだけど、求めてた感覚が得られるだけでぞくぞくする。 「……っあ」  うなじにキスして舌を触れられると体が跳ねた。  気持ちいいけど……。 「なぁ、汗とか嫌じゃない?もっと変なことしといて今更だけど」  クーラーつけてても、大の男二人が体絡ませてたら汗もにじむ。 「気にならないよ。きみの体なら、全部が蜜みたいなものだから」  前に回した手のひらが、するりと胸を撫でる。 「んっ……そりゃ言い過ぎだろ」 「じゃあ、どうしてきみは僕のを舐めたいなんて言うんだい」  きゅ、と胸の先摘みながら、後ろはゆるゆると中を掻き乱す。 「っ……俺だって、あんたのなら……っあ」  感じるところ擦られて、口開けて息してるとふいに鼻の奥にあの香りを感じた。
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