実を結ばない花 ―金木犀と神隠し5―

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 あれだけきつい香りに感じてたのに今は妙に馴染んで、邪魔にならない。 「僕のなら?」 「っ……俺だって、あんたなら全部甘い。……いつも、飴ばっか食ってるからじゃねーよなって、思ったくらい」  一瞬の間のあと、吹き出して笑うのが聞こえた。 「可愛いねぇ。きみは本当に」  のしかかるように抱きしめられて、耳の裏、ぬるりと舌で撫でられた。 「ふぁ」  雨音。百合の香り。  自分たちの、交わる音。  体温で立ち上る肌の匂い。  目的は違うけど、俺たちも十分動物だよな、って思う。 「っ、なぁ……もっと、ひどくして」 「……ああ、いいよ。このままがいい?」 「……うん」  パン、と音立てて奥まで腰叩きつけて、押しつけたまま中をえぐる。 「っ……」  引いて、突き入れて。首筋に肩に歯を立てられて。  手は胸の先をそっと転がしたり、かと思うときつく摘み上げたり。 「あ……」 「気持ちいい?」 「んっ。……俺の体、気持ちいい?奏人さんは」  ぴく、と一瞬中のものがふるえるのが分かった。 「……馬鹿な子だね」  低い声が聞こえて、奥まで埋められて抱きしめられた。  はぁ、と溜息ついて耳元に囁く。 「馬鹿なこと聞くもんじゃないよ」 「……だって、言ってくれなきゃ分かんねーよ」  振り返ると目が合って、口でした後は嫌がるんだけど、ほんの唇重ねてキスしてくれた。 「気持ちいいに決まってるだろう。……誰が、誰を抱いてると思ってるんだい」
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