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あれだけきつい香りに感じてたのに今は妙に馴染んで、邪魔にならない。
「僕のなら?」
「っ……俺だって、あんたなら全部甘い。……いつも、飴ばっか食ってるからじゃねーよなって、思ったくらい」
一瞬の間のあと、吹き出して笑うのが聞こえた。
「可愛いねぇ。きみは本当に」
のしかかるように抱きしめられて、耳の裏、ぬるりと舌で撫でられた。
「ふぁ」
雨音。百合の香り。
自分たちの、交わる音。
体温で立ち上る肌の匂い。
目的は違うけど、俺たちも十分動物だよな、って思う。
「っ、なぁ……もっと、ひどくして」
「……ああ、いいよ。このままがいい?」
「……うん」
パン、と音立てて奥まで腰叩きつけて、押しつけたまま中をえぐる。
「っ……」
引いて、突き入れて。首筋に肩に歯を立てられて。
手は胸の先をそっと転がしたり、かと思うときつく摘み上げたり。
「あ……」
「気持ちいい?」
「んっ。……俺の体、気持ちいい?奏人さんは」
ぴく、と一瞬中のものがふるえるのが分かった。
「……馬鹿な子だね」
低い声が聞こえて、奥まで埋められて抱きしめられた。
はぁ、と溜息ついて耳元に囁く。
「馬鹿なこと聞くもんじゃないよ」
「……だって、言ってくれなきゃ分かんねーよ」
振り返ると目が合って、口でした後は嫌がるんだけど、ほんの唇重ねてキスしてくれた。
「気持ちいいに決まってるだろう。……誰が、誰を抱いてると思ってるんだい」
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