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「──具体的に、どんな嫌がらせですか?」
熱くなっていた二人がピタリと止まる。
「……っ、被害者に言わせるんですか!?」
「身に覚えがないのでぜひ聞かせてください」
あたかも挑発を受けたかのように顔を赤くしている二人には周りの状況が見えていないのか、私を糾弾するのに忙しいようだ。
「営業部はみんな気付いてるよ!他の営業アシスタントが仕上げた業務のデータを自分の名前に書き換えて、自分の手柄にしてるって!!」
「具体的に、誰の分が私の名前になっていたとおっしゃりたいのでしょうか。私の日報の記録がありますので確認できます」
「自分でつけてる記録なんて証拠になるわけないでしょう!嘘ばっかりつく人なんて信用できないに決まっているでしょう!」
「事実、私がやりましたから。情シスを呼んでファイル作成者のIPアドレスやログイン情報を確認してもらってもかまいません」
情シス──情報システム室という他部署の名前が出てきて、二人の勢いがやや弱くなった。さすがに他部署を巻き込めばことが大きくなることはわかっているのだろう。
もうすでにミーティングと称してオフィス内で騒いでしまっているのだが。
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