襲来

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片桐の前に現れた強固なフェンスが独特の軋みを上げている。しかしその音はいずれ鎮まり消えていった。 「…ギリー。ギリー!」 ヴォルクマンが片桐の肩を掴んだ。 「え?…なんだ?」 「…しっかりしろ。ジャパンは平和というがボケ過ぎだ。…きっと例の感染の話だ。こんな状態とは。…第6館はこの防火用の扉を閉めれば基本的に人は入れない。しばらくは大丈夫だろ。…奥でみんなが居る。」 ヴォルクマンと片桐は奥のモニタールームへ。悠悠や研究員がみな来ていた。 モニターの近くでで作業をしているのはメカニックのラジープだ。 「ラジープ。映像見れる?」 「待ってくれよユーユー!今、端末からアクセスしているよ。俺がアクセス権のコードを持ってなきゃ、ただの液晶パネルになるところだったよ。」 ラジープは自分の端末から大型の液晶に映像を映す。 監視カメラの映像だ。 「OK!…これで今までの映像を見ることが出来る。10時間くらい前から見てみよう。」 分割された小さなモニター。入口やオフィスなどいつも様子が映し出されている。 「…特に異変は…ないけど…。」  「早回しだ。」 映像が動いていく。まだ何も無いが、コーリアが声を上げた。 「待って!少し戻して!」 コーリアが指差していたのは受付。外から入ってきた人間が、受付モニターを触れては何やかんやして戸惑っている。そしてスタッフの一人がやってきている。 「誰だ?」  「この感じだとアポイント無しで断られている感じだけど。」 そのやり取りは1時間以上もされている。すると他の人もまた受付に。 そして人が人を呼び、雪崩れるように施設に人が入ってきた。
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