おじさんの家に行こう!

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 ドアが開くと、涼しい冷房の風が廊下に流れてきて、足元からスーっと僕を包んだ。 「いらっしゃい!」  玄関には黒いワンピースを着た、真っ白いふわふわの髪のお姉さんが両手を広げて立っていた。 「マリーお姉ちゃん!」  そう言うと、マリーお姉ちゃんは広げた両手で僕をぎゅーっと抱きしめた。いきなりで驚いたけど、僕も負けずにぎゅーっと抱きしめ返した。 「久しぶり! 大きくなったね、藍!」 「うん!」  マリーお姉ちゃんは僕の頭を撫でた。相変わらずマリーお姉ちゃんの肌はスベスベで、雪みたいに白い。おじさんが言うには、2万人に1人の確率で生まれる白い肌の人らしい。 「さっそくだけど、藍の部屋を案内するね!」  そう言われてマリーお姉ちゃんについていくと、部屋を出て向かいの『503』の部屋に入った。中は雑居ビルの一室というだけあってとても広くて、ベッド、勉強机、大きな窓、色々な本が詰まった本棚と色々置いてある。 「ここ、好きに使ってくれていいよ! 物置だったけど掃除して使えるようにしたんだ」  そしてマリーお姉ちゃんはシャッとカーテンを開ける。そして人通りのない雑居ビル群を手で指す。 「見てこのシティ・ビュー!」 「いや、ただの道路じゃん!」  僕がツッコむと、楽しそうにケラケラとマリーお姉ちゃんは笑った。 「別にこの部屋だけじゃなくてリビングにいてもいいからね!」 「わかった! ありがとう!」  そうしてマリーお姉ちゃんのルームツアーを終え、僕らはリビングに戻った。 「部屋、気に入ってもらえたかな?」  リビングで新聞を読んでいたおじさんが僕に訊く。 「うん! ありがとうおじさん!」  こうして、おじさんの家で過ごす僕の夏休みが始まった。  
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