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きっと、僕の父さんは天才なのだろう。
AI研究の第一人者と言われていて、世界的に有名な研究者だ。
今は、『AIプロジェクト』という次世代AIを作り出す企画のリーダーをしていて、研究所にこもりっきりになっている。
いつも忙しい仕事人間だ。
僕は、そんな父さんのことを尊敬している。
でも、父さんが親しみやすい人間とは言えない。とても気難しい人で、笑ったところなんて、ほとんど見たことがないからね。
天才ってのは、人に理解してもらおうとしない人種なんだ。
周りの人間を圧倒的な能力で黙らせて、従わせるだけ。
まったくもって、天才という人種は傲慢だよ。
……ま、そこが魅力的なんだけどね。
僕は、父さんに言われた通りに、毎日一生懸命勉強している。だけど、父さんから見れば、僕はまだまだ努力不足らしい。
たまに、父さんに勉強の成果をチェックされると、怒られてばかりだ。
「おまえはこのままだと、AIとの生存競争に負けてしまうぞ!」ってね。
父さんがしてくる口頭試問は、勉強してても答えるのが難しい。ジャンルはバラバラで、古典文学から最新のテクノロジーまで多岐に渡る。流行のファッションや人気番組まで把握してないといけないらしい。
自分が天才だからって、息子に期待しすぎじゃないですかね。
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