シンとゆきちゃん

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ゆきちゃんはシンが心ゆくまでいつまでもおしりをなめ続けさせるが、たまにシンが図に乗ってのしかかってくると、ものすごい形相で爪をたて、威嚇する。 電車で、スケベじじいの痴漢の被害にあっている美人の女子高生が、ずっと我慢していたがとうとう耐え切れず、じじいをカバンで殴った。そんな光景に1度出会ったことがあるが、この2匹を見ているとおれはそれを思い出す。 おふくろはシンにもゆきちゃんにも、あほほどエサを与える。 カリカリだけでは飽きるから、缶詰も買い溜めしないと。 おやつもちゅ~るだけだと飽きるから、かつおジャーキーも…… エサ台のエサが切れたらすぐに足すので、シンもゆきちゃんもぶくぶく太ってきた。シンはいいとして、ゆきちゃんがでぶ女になるのはおれは耐えられない。 「あのさあ、エサ与えすぎやろ。猫かて糖尿になるらしいで」 「せやかて、ガリガリよりはマシやろ。最初、シンはガリガリでかわいそうやったやんか」 そうだ。最初にあらわれたシン。ガリガリで、全身皮膚病でデコボコのかさぶただらけだった。あのままだときっと死んでいただろう。病院で注射を打ってもらい薬を塗ったりで、ここまで健康なでぶになるとは思わなかったなあ。
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