シンとゆきちゃん

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シンの1ヶ月遅れであらわれたのがゆきちゃんだ。こちらは最初から見た目がととのっていたので飼い猫かと思ったが、首輪をしていない。それに毎日やってきて、シンと一緒にエサを食っている。 しばらく様子をみていたが、これは野良だろうと判断して手術したのだった。この家なら助けてもらえると思って来たのだろうか。どうも、どこそこの家ではメシがもらえるとかの猫の口コミというかネットワークが形成されているようにおれには思えてならない。 さて先日のこと。ゆきちゃんが庭のすみっこで、何かを食べている。 近づいて目をこらすと、……スズメだ。 エサをじゅうぶんにもらっている猫は、鳥を捕まえても食べないものとおれは思っていた。ただの遊びで狩りをしているのだと。それが、ゆきちゃんはバリバリと、音をたててスズメの頭蓋骨を砕いている。くちゃくちゃと、内臓も咀嚼している。 ゆきちゃん……そんな、ワイルドな子だったとは。おれは呻いた。そして部屋からスマホをとってきて、ゆきちゃんにかざした。猫のしぐさや表情からAIで言葉を翻訳するアプリが発売され、インストールしたばかりなのだ。 「あー、おいしかった。やっぱ、生肉はぜんぜん違うわ」 おれは驚いて、次に、すぐ横で寝そべっているシンにスマホをかざした。
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