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「みきとがかけてくれればいいだろ?」
「練習だよ。じいちゃんがロボットをちゃんと使えれば、僕がいないときにも聞けるでしょ」
「みきとが来たときに聞ければいい」
「でも、僕、毎日は来れないからさ。来れないから、毎日一緒に聞こうよ。聞いてほしい」
僕がお願いすると、じいちゃんは「はあ」とため息をついて、ロボットを見た。
「音楽をかけて」
ロボットはじいちゃんの声をしっかりとキャッチした。
耳なじみのいい柔らかな音が、ロボットのスピーカーから流れ出る。
じいちゃんは目を閉じて、音楽に耳を傾けた。
僕も目を閉じて、音楽に浸った。
「洋楽か」
じいちゃんの低い落ち着いた声が言った。
「みきとは洋楽、好きだもんな。中学生の頃は、かっこうつけてただけだったけどな」
「本当に好きで聞いてたんだよ」
「どうだかな」
僕が目を開けると、じいちゃんが、夕焼けのオレンジ色の光の中で、昔みたいに朗らかな笑みを浮かべていた。
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