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そして気づけば成人式の日となっていた。僕は彼女と再会した時に、一層美しくなっているその姿に惚れ直した。そして思いきって、いや、用意周到なプロポーズをした。結果は分かっているはずなのに、とても緊張したのを覚えている。
現在はもう四十を過ぎているが、彼女との結婚生活は続いている。しかし相手の容姿や笑顔、声だけで好きになり、一切の交際期間が無かったため、大変な思いをすることとなった。
まず、お金の価値観が大きくかけ離れ、味覚に関しても意見が対立することが多かった。子供やペットに対する考え方にも乖離があった。私は当初、後悔を余儀なくされた。あまり相手のことを知らずに、その道を選んでしまった当時の僕を恨んでみたりもした。
だが今はもう違う。互いに少しずつ歩み寄った結果だった。今では、かつて二人を隔てていた溝には美しい橋がかかっている。僕はこの道を選んで良かったと心から思っている。
「ねぇ、起きて。もう朝だよ。」
そう言って笑いかけてくれる君の笑顔は朝日よりも眩しかった。
家の庭には鳥の囀りが響いていた。
〜③一途な恋〜 END
(→読み終わったら一度、12ページまで飛んでくほしいです。)
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