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「それでは、サポート内容と関係のある、公衆電話内の青いボタンと赤いボタンについて説明します。」
「さっきそれを押しちゃったんですけど、何の反応もなくて、、、」
「大丈夫ですよ。そのボタンはこの電話が切れた後に押すとキチンと作動するので。」
「なるほど。分かりました。」
「それでまずは青いボタンなのですが、これを押していただくとあなたが恋している人の好きな人をお教えします。」
「え。そんなことできるんですか?というか、そもそもなぜ僕の好きな人が分かるんですか?」
「それは企業秘密ですのでお伝えできません。しかし、情報の正確性は保証いたします。」
「けど、そんなの信じられないです!」
「それなら、、、」
ジー、という音がして、電話ボックスの横から千円札のような白い紙が出てきた。そこには僕の好きな人の名前が記されていた。
「ただいまそちらに証拠をお送りしたのですが、これでもまだ信じてはいただけないでしょうか。」
「分かりました。信じます。」
僕の心は驚愕と不信で支配されていたが、口からは正反対の言葉が出ていた。それは懐疑という脆い基盤の上に成り立った信頼に過ぎなかった。
「ありがとうございます。それでは話を続けますね。繰り返しになりますが、この青いボタンを押していただくと、あなたは相手の好きな人を知ることができます。ただし、もちろんお代はいただきます。なに、ほんの少しです。先ほど白い紙が出てきた所に五千円を投入していただくだけです。」
「なるほど。」
とは言ったものの、まだバイトをしていない高校生にとって五千円はまあまあの出費だった。
「ちなみに手順としては、この後赤いボタンの説明をした後に一度電話をお切りするので、五千円を投入した後に青いボタンを押してもう一度受話器をとっていただければ繋がると思います。」
「分かりました。入れた後に押して掛ければいいんですね。」
「その通りです。他に質問はありませんか?」
「他は、、、大丈夫だと思います。」
もちろん、疑問だらけだった。しかし何から質問すればいいのか分からない。いや、何が疑問なのかはっきり分かっていない。まるで最近置いていかれ気味の数学に似た感覚だった。
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