【恋の公衆電話】

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「それでは次に赤いボタンの説明ですね。驚かないで聞いてくださいね。」 今更何を聞いても驚くことはないだろう。 「はい。」 「こちらを押していただくと、あなたが恋している人と結婚する未来が与えられます!」 「はい⁈」 「ですから、あなたは赤いボタンを押すだけで、今好きな人との結婚が保証されるということです。」 「いや、流石にこれは、、、」 「信じられないですか?」 「はい。」 「そうですか。でも方法は企業秘密ですし、、、。それに、もちろんこれには大きな代償が伴います。」 やはりか。さすがに怪しすぎる。 「大きな代償?」 「はい。百万円です。」 「百万円⁉︎いやいや、そんな大金無理ですよ!」 「もちろんそれは承知しています。なので、借金という形でお支払いいただきます。」 「借金、、、」 これには悪いイメージしかなかった。小さい頃から口酸っぱく親に言われてきたからだ。 「安心してください。普通、借金をすると時間が経つにつれて返済額が増えていくのですが、こちらは違います。就職後に月当たり千円だけ口座に振り込んでいただきます。それに、利息はないので支払う必要があるのはピッタリ百万円だけです。変な手数料などもありません。」 「それなら、まだマシそうですけど、、、」 ジー、という音が再び室内に響き、文字がビッシリと並んだ紙が出てきた。 「ただいま契約内容書を送ったのでそちらをご確認ください。」 私は穴が開くほど凝視した。しかし5分間の熟考の末、不信な点は見当たらなかった。 「なるほど。確かに善良な借金らしいですね。」 自分で言って、善良な借金?なんだそりゃと思った。もう既に頭は限界だった。 「ご確認ありがとうございます。それと、もう一つ注意点があるのですが、二十歳の成人式までは付き合うことができません。一応こちらもお送りしますね。」 どうやら、あくまで結婚を保証するものであって、恋人関係までは保証してくれないらしい。二十歳まで付き合えないのは少し寂しいが、結婚した後の人生の方が長いのだ。まあ大丈夫だろう。 紙にざっと目を通すと、成人式の後、高校の部活のメンバーで少し再会するため、その時にプロポーズすると結婚が決まるらしい。しかも結婚にかかる費用を一部負担してくれるとも書いてある。 「大丈夫そうです。」 「それはよかった。他に質問はありませんか?」 「はい。大丈夫です。」
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