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その後、僕は彼女との恋は諦めた。あのまま知らずに頑張っていれば、もしかすると付き合えていたのかもしれない。ただ僕にとって、あの電話から放たれた無機質な一言は諦める原因としては十分だった。
その一方で親友との仲は深まって、もはや深友だった。そして二年生になって主力の三年生が引退した六月、彼は僕に好きな人を告げた。さすが親友。彼は女性の好みも僕と同じだった。
僕はもちろん彼を応援し、その甲斐あって最終的に二人は付き合い、結婚した。これは余談だが、結婚式のスピーチで流した涙は、親友への感謝や単純な感動だけではなかったと思う。その後も彼との交流は続いた。僕が彼の恋を後押ししたことをすごく感謝しているらしい。
「やあ、調子はどうだい?」
彼は今日も優しく、元気な声で話しかけてきた。八十歳になった今でも、僕は彼とよく会っている。彼とは心友になっていた。
「ずいぶんいいよ。あんたさんのおかげでな。」
そう言って笑う僕の顔には友情の皺が刻まれている。
〜②親友との絆〜 END
(→読み終わったら一度、12ページまで飛んでくほしいです。)
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