【恋の公衆電話】

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【恋の公衆電話】

僕は、学校から離れていくローカル列車に揺られている。早くも高校に入学してから一年が過ぎようとしていた。窓の外に流れる田園には夜の闇で少し黒みを帯びた灰色の雪が積もっている。 ガタンガタン。ガタンガタン。 電車の揺れは部活で疲れ切った僕を眠りへと誘う。 「次は田塚(たづか)〜、田塚です。左側の扉が開きます。」 運良く、自分の降りる駅で車内アナウンスに起こされ、慌てて荷物を持って電車を降りる。 プシュー。 降りてすぐに扉が閉まった。 なんとか今日も寝過ごさなかったことに安堵し、ホッとため息をつく。吐いた息は白くなり、夜空に消えていった。 ここから家までは徒歩十分。普段は自転車で帰るが、雪が積もっているので乗ることができない。私は重圧(教科書)で重くなったリュックを背負い、夢と希望(部活着)が詰まったエナメルを肩にかけて駅を出た。 僕は小学生の頃からの親友と中高が一緒になり、二人ともバスケ部に入った。中学では共にレギュラーだったが、引退後にアイツだけ身長がぐんと伸びて、高校ではすぐにレギュラーになった。一気に置いていかれて孤独を感じつつも、必ず追いついてみせると心に誓い、努力は怠らなかった。 いや、実は努力する理由は他にもあった。 好きな人がいると頑張れるとは正しくだと思った。僕はバスケ部の同学年のマネージャーに恋している。一目惚れだった。入部の挨拶の時、彼女の笑顔に心を奪われた。それ以来、彼女が笑いかけてくれるたびに、彼女が応援してくれるたびに、その笑顔や声音に惹かれていった。 彼女のことを考えて歩いていると、いつの間にかいつもは通らない道にいた。雪が積もっていることもあり、道を間違えてしまったらしい。すぐに引き返そうとして視線を上げると視界の端に違和感を捉えた。そこまで行ってみると、何やら異様な雰囲気を放つ公衆電話が佇んでいた。 『恋の公衆電話』 その公衆電話の上にはそう書かれた小さな看板がついていた。好奇心に負けた僕は恐る恐る扉を開けて中に入る。 (設定とか無理やりな所もあると思いますが、とりあえず流し読みでいいので5ページ目まで目を通してほしいです!)
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