君と花火と秘密の夜

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君と花火と秘密の夜

 ただ、それが綺麗だった。  色とりどりの花が、20くらいは咲いただろうか。  この辺りから、一際大きくカラフルな花火が咲くようになった。  フィナーレだ。  ふと、ゆかりが自分の手を僕の手に重ねた。花火から目を逸らし、僕の目を静かに見つめた。 「…どうしたの?」  僕は聞いた。  ゆかりは、一度僕から目を逸らし、考えるような素振りを見せながら、もう一度僕を見た。 「…あのさ」 「うん」  花火が、頭上に大きく咲く。 「…もし…もし私が…」 「…私が?」  花火が儚く散った。 「……ロボット」 「え?」  ゆかりは、もう一度しっかりと僕を見つめた。  ゆかりは、深く息を吸い込んで言う。 「…私が、ロボットだって言ったらどうする?」  最後の花火が咲いた。 「…どうするって…」  僕は混乱のあまり頭が真っ白だった。  もしロボットだったらって…ゆかりはロボットってこと…?  でも、そうだとしたらつじつまが合う。  __ゆかりの、あの冷たい手も。  __あの、ぎこちない笑顔も…  さびしそうに僕を見つめるゆかりを見て、僕は本物の自分の気持ちを、ありのままに言った。 「どうもしない。…ゆかりは、ゆかりだもん。ゆかりがたとえロボットだとしても、ロボットだから、ゆかりなんじゃない?」  ゆかりは、初めて泣いた。  あの、ぎこちない笑顔で。 「ずっと、一緒にいてね…ずっとだよ」  ゆかりがそう言って、僕の手を握る。  僕も答える。 「うん、ずっと一緒」  そして神様は、僕が一番欲しかったものをくれる。
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