繊月

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 元々人付き合いが上手な方ではなく、親友と呼べるほど仲のいい人がいたわけではない私は、段々孤立するようになり、休み時間はひとりで図書室から借りた本を読んで過ごし、放課後は帰り家のことをやるため真っ直ぐ自宅へ帰る子になるのは仕方ないことだったと思う。  食事は家族分作るのだが、一緒に食卓を囲むことは許されず残り物が私のごはんだったから、美晴の好物だった日は、おかず無し。外食の日は食事抜きなんて事もよくあった。  高校は美晴とは違う学校へ行こうと勉強を頑張って離れたが、中学の同級生の何人かがいる環境は美晴がいないはずなのに常に美晴に監視されているような気配が感じられ、結局勉強だけをして3年間が終わる。  大学は私が女子大、美晴が共学だったし、様々な場所から進学してくるため学内で少しは自由に過ごすことが出来たがお小遣いもなければバイトも時間的に出来ない私は勉強だけが楽しみになっていた。  その頃、近くの大学に通うふたつ上の男性から告白された事があったが、まともな交際に進む前にどういうわけか美晴の彼氏になっていて諦めるしかなかった。  その後、その彼とは別れたらしくグループで遊び歩いていたようだが、拓馬さんとはその頃知り合ったらしい。  色々我慢して来た私が、美晴の好きな彼氏と結婚したらあの子は悔しいだろうから、やり返した気分になる?とも思ったが、私は他人の彼氏を取るなんてしたくないし拓馬さんの気持ちが私にない状況では結局、何もいい事がない。出来れば美晴の事も話して、父に話して婚約破棄してもらいたいと考えた。
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