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エレベーターを最上階の6階で降りると目の前にドアがひとつ。ワンフロア全部寮なのだろうか。しかも使っていないってもったいない気がする。
中に入ると広いリビングのある3LDK?寮というより誰かの家と言われた方がしっくりくる。
それに綺麗に片付いているが、しばらく使っていないという感じではない。
「ここが莉乃ちゃんが住む寮。部屋は3つあるけどあっちは俺がたまに泊まる時に使っていたベッドルームだからこっちの部屋を使って。もちろん莉乃ちゃんがいる間は泊まったりしないから安心していいよ。」
「店長さん、何から何までありがとうございます。」
キューテンさんって呼んだ方がいいかと考えたが働かせてくれると言うことは雇用主だと思い、店長さんと呼びかけた。
「店長…まぁ、そうなんだけどみんなキューテンって呼ぶからキューテンでいい。」
「あのキューテンってどういう意味ですか。」
「俺の名前、望月久典って言うんだ。永久の久に辞典の典でそのまま音読みでキューテンってわけ。小学校の時に友達に付けられてからみんなそう呼ぶ。」
「キューテンさん。お世話になります。」
「はい、よろしくね。仕事は明日の夜から。それまでゆっくり休むといい。腹減ったら冷蔵庫の中のもの勝手に食っていいからな。」
私に部屋の鍵と洗濯済みのシーツとバスタオルなどを手渡して頭をポンとするとキューテンさんは部屋を出て行った。
ひとりになると大きなため息が出た。思っていた以上に緊張していたようだ。
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