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映人は当然カースト最下層。昼休みは一人虚しく母親の作った弁当を食す、彼曰くぼっち貴族だ。
「俺の心を体現するならさぁ、ここで雨の一つでも降ってくれよ」
そんな彼の心の声も虚しく、空は雲一つ無い、快晴である。
× × ×
長く退屈だった授業が終わり、地獄の放課後が訪れた。重い気持ちを振り払いながら、映人はバレーボールシューズの入った袋を引っ提げ、教室を後にした。
急がないと、部の連中と鉢合わせになる。それだけは避けなければいけない。
「エイティー、今日新作アニメについての上映会、及び感想回を行うんだが、来るか?」
そんな彼の気持ちを思いやる事も無く、満面の笑みを浮かべ、同じクラスの大森雄基が話し掛けてきた。
彼も映人と同じくカースト最下層、アニメとアイドルをこよなく愛する、今時珍しいガチオタ。最初こそ見下して距離を取っていたのだが、一人でいることほど、高校生活に於いて辛い物は無い。プリキュアを始めとしたニチアサ話で意気投合して以来、彼とアニメや漫画の話をする事も増えていった。
「これから部活だよ」
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