あおむらさきっ!

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 体育館へ続く渡り廊下を進んだ先に、運動部の部室はひしめき合っている。早くも各々の運動着に着替えた他の部の連中が談笑したり、廊下で筋トレやストレッチをしたりしている光景が目に入ってきた。  程なくバレー部の部室に到着し、映人は恐る恐るドアノブを回し、中へと入った。  卓球部と共同になっていて、部で使う備品や筋トレ器具、先輩の残していったエロ本や漫画雑誌も雑多に置かれている。むさ苦しい男の汗の臭いと埃が充満し、ここだけを見ると、男子校と言っても差し支えない空間である。  幸いにも、他のバレー部の連中は誰も来ていなかった。  映人は適当に荷物入れに鞄を放ると、急いで着替え始めた。  あいつらが来る前に着替え終えなければ、一度体験した気まずい空気に再度堪えないといけなくなる。何としてもそれだけは避けたかった。  脱いだ制服を乱暴に鞄に入れると、シューズを履き替え、何とか一息つく事が出来た。映人は胸をなで下ろすと、日課にしている筋トレの準備を始めた。高校デビューを果たすために、当初の計画に組み込まれていた、青臭い自分磨きの一環だ。
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