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そう言えば、新学期に入ってからあいつが部室に来ることは無かった。どんだけショック受けてんだ。
「お前って結構、まともな事言うよな」
「アイドルオタク=犯罪者予備軍みたいに言うな」
そう言う意味じゃ無いし。そもそもその理屈だと、俺もそう変わらないのだけれど。
「そういや聞いてなかったんだけど、戸川って何で日高さんの事推してたの?」
「それはヒ・ミ・ツ」
人差し指を口元に当てて答えた。
「やっぱさっきの言葉取り消すわ」
「冗談冗談。何となくビビって来たんだよ、何か光るものがあるって」
戸川はさくらの写真を見ながら、しみじみと呟いた。
戸川の見立てはあながち間違っていなかったらしい。本質を見誤っていたのは俺の方だった。
「大変だ、戸川っち。エイティー」
大森がいきなりドアを開けて入って来た。
「何だよ、久々に顔出してきたと思ったら」
「可愛い女の子を見つけたであります。至急ご同行願います!」
ビシッと敬礼を決める大森に、おセンチになっていた戸川も立ち上がって敬礼を返し、
「何だと。すぐにカメラにその美少女を収めなければ」
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