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言うが早いがデジカメを手に持って、部室を大森と共に出て行った。
「俺は行かないからな。ドア、ちゃんと閉めてけよ」
俺まで変態に思われたら堪った物では無い。椅子に腰掛けると、一人お茶会を再開し、再度マラソン大会のメイキング動画を眺めた。
「勿体ない。結構良い表情するんだけどな」
必死に走っているさくらの動画を観ながら、ふと言葉が漏れた。アイドルで無くても、女優と言う選択肢もあったのではないだろうか。そんな事を考えていると、
「呼びました?」
誰かの声がした。顔を上げると、ドアの前にさくらが立っていた。
「…どうしたの?」
「相変わらず冷たいですね」
そう言ってさくらは部室に入ってきて、映人の向かいに座った。
「アイドルは辞めましたけど、皆さんと関わらないとは一言も言ってないですよ」
「? まぁそうだな」
さくらは一枚の紙を映人の前に差し出した。入部届の紙だった。
「これからよろしくお願いしますね。エイティー」
「…ああ。よろしく」
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