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映人は驚きながら、受け取った。呼び名を訂正したかったが、部員が一人増えた事が何より嬉しかった。これで部として、正式に活動することが出来る。
映人は喜びを隠しきれず、口元が緩んだ。
さくらはその様子を満足げに見つめながら、
「戸川くんたちはいないんですね」
「ああ、ちょっとな」
「残念です。せっかく喜ばせてあげようと思ったのに」
さすがに別の女の尻を追っかけに行ったとは言えない。言ったところで、せっかくの貴重な女子部員を失ってしまうかも知れないし。
LINEの着信音が鳴った。スマホを取り出して見ると、妹の和花からだった。
「戸川くん?」
「いや、妹」
「妹いたんですね。今度会ってみたいなぁ」
映人がLINEを確認すると、
「お兄ちゃん、助けて。カメラ持った変な人たちが話し掛けて来たんだけど」
続けて写メが送られてきた。大森と戸川だった。
「…あいつら」
映人は慌てて立ち上がると、
「悪い、日高。ちょっと用事出来たから、今日は帰るわ」
「え、せっかく来たのに。少し話しましょうよ」
「それ、全部食べて良いから。紅茶も勝手に入れて飲んで」
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