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「沢城がいるなら、俺要らなくね? お金は後で出してあげるから、欲しいもの買っといで」
映人はそう思ったが、和花の強引さに何も言うことが出来ず、仕方なく為すがまま付いていった。幸奈も同様の様子で、映人がいる事は知らなかったらしい。
「アッキー、お待たせ」
幸奈と和花がショップから出て来た。どうやら眺めるだけで満足したのか、何も買わなかったご様子。
「良いのか」
「うん、見てるだけで満足しちゃった。お兄ちゃん、お腹空いた」
「…さっき昼食べただろ」
出掛けるのが遅かったので、着いて早々パスタを食べたばかり。その後買い物をしていたとは言え、三時間と経っていない。
「良いから、お茶しようよ」
「だったら、良いとこ知ってるよ」
「さっすが幸奈ちゃん。行こ~、しゅっぱ~つ」
二人は盛り上がりながら、目的地に向かって歩き出した。持たされている買い物袋の重さに辟易しながら、映人は渋々付いていった。
× × ×
入ったのはオシャレで若い女性客が多めの落ち着いた雰囲気のカフェだった。
映人一人では、絶対に入らないであろうお店だ。
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