0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、まぁな。映画撮れてないから、何とも言えんけど」
地獄だった数ヶ月前に比べたら、人間関係は概ね良好。部活とバイト、それだけ居場所があれば、クラスで浮いているのも我慢が出来るというものだ。
「そっか。何人いたら、映画って撮れるの?」
映人は幸奈の質問に、指を折りながら、
「どうなんだろ。監督、カメラ、撮影、録音、美術、衣装、メイクに助監督。本格的にやると全然足りないな。役者も必要になるし」
商業では無いので、出来るだけ予算は抑えたい。となると、役者も部員か知り合いであるのが理想と言える。ウチの学校は演劇部が無いので、最悪内トラになってしまう。
「結構いるねえ。でも、ハリウッド映画とか観てるとエンドロールすっごい長いもんね」
まぁあれだけの規模の物は流石に無理だけどな。人数多いのに越した事は無いけど。
「色々兼業するしか無いんだろうな。現実的に考えて」
「なるほど。じゃぁアッキーが役者やるって事もあるのか」
「考えたくないけど、あるかもな」
北野武やジャッキー・チェンならいざ知らず、自ら監督する作品に自分が出ている姿を想像するのは、正直苦痛でしか無い。
最初のコメントを投稿しよう!