あおむらさきっ!

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「でも、そっか。西武多摩川線何だかんだで高いしね~」  チケットを買って、中へと入る。さっき奢って貰ったのが相当気になってたのか、ここは割り勘になった。今月小遣いがピンチの身としては大変助かる。 「バイト代、やっぱ映画に使うの?」 「そうだな。本買ったり、あとカメラ欲しいから、貯金してる」 「なるほど。それで年末年始シフトいっぱい入ってたのか」  運動部の幸奈と違って、文化部なので正直時間が取りやすい。文化祭もまだまだ先だし、当分映画を撮る予定も無い。新入部員が入ってこなければ、一生撮れないかも知れないが。即ち、バイトし放題だ。 「てか、気遣わなくて良かったのに。これ、恋愛映画じゃない?」  そう言って、チケットを見せてきた。映人が選んだのは「小さな恋のメロディ」で、確かにロマンチック・コメディーの恋愛映画だ。 「いや、観ればわかる。何よりラストが良いんだ、絶対気に入るから」 「てか観た事あるんだ」  映人の熱弁に笑いそうになりながら、幸奈は嬉しそうにチケットを見つめた。  
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