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「私たち、今までの約18年間ほぼ毎日顔合わせて……。いつもそばにいた」
「……」
「それなら、私と澄生はその偏見のコレクション、きっと一緒だよね」
「……」
「澄生と一緒なら…、うれしいって思たんだ」
コーヒーを口に含んで「うわぁ、まずいね」って目元を緩ませる。
……そんなの飲んで嬉しそうな顔すんなよ。ばか、亜緒。お願いだからやめてくれよ。
偏見も。常識も。
そんなもんが一緒でなんの役に立つんだろう。
変わらずこれからを一緒に過ごすなら、この狭い今までの日常で同じように生きていくなら、それは安心材料になったかもしれない。おまえを勘違いさせる、呪いになれたかもしれない。
でも、もう、そんなことできないだろ。
亜緒は、ここからいなくなる。
俺だけが残されるこの場所で、亜緒と同じ常識を持ち合わせても何もならない。
おまえと同じものなんて、もういらないよ。
それに、俺のコレクションは絶対におまえと一緒じゃない。
―――…… 俺の基準は、全部、亜緒でつくられてるんだから。
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