私の推しは、炎の魔女

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私の推しは、炎の魔女

 予約して数ヶ月。やっと届いた小さな箱を、そっと撫でてみる。中身は香水だ。しかもただの香水ではない。大好きな人が、自分自身をイメージした特別な香水なのだ。  彼女と初めて出会ったのは、ある1つの動画だ。画面の向こうで、楽しそうにゲームをする彼女はとても魅力的で、私も一緒にゲームを楽しんでいるような気持ちになれた。ゲームの登場人物にいつも寄り添っていて、ついつい私も感情移入してしまう。彼女が笑えば一緒に笑い、彼女が泣けば一緒に泣いた。  大きな魔女帽子と、ピンクブロンドの長くて美しい髪が、彼女のトレードマーク。可愛らしさとセクシーさを兼ね備えた、大人のお姉さんのような見た目だが、性格はかなり男勝りでたくましい。自分を一番大切にし、毎日美味しいものを食べるために生きていると断言していたこともあった。いつでも真っ直ぐに突き進む彼女を、RPGゲームの職業で例えるなら、ロマンやお宝を追い求める冒険家、もしくは己の拳一つで戦う格闘家だろうか。  
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