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昔の私、今の私
彼女に出会う前の私はというと、他人の評価を気にしてオドオドと生きていた。中学時代、誰もが必ずしも一度は経験するであろう”スクールカースト”に巻き込まれてからというもの、誰かに嫌われることや否定されることにかなり怯えていた。周りをよく観察し、自分がどんな行動をとれば誰も傷つかなくて済むかを考えることが日常だった。だからだろうか、私は周りの状況を第三者の目線、神の目線で観察することが得意になった。そして、とうとう自分のことですらも他人事のように見るようになったのだ。
「○○ちゃん(私)って優しいよね。」
そう言われることも多かった。別に、相手をいじめようと思ったことは一度もない。しかし、皆が優しさと捉える”それ”は、本当に優しさと言っていいのだろうか。
周りと混ざり合えていないような、どことなく感じる孤独。自分の好きなもの・ことを隠せば隠すほど、心がどんどん空っぽになっていくような感覚だった。何が好きなんだっけ?譲れないものは何だったっけ?…まぁいいか。どっちでもいいし。こう考えることが増えていった。
成人し、あの頃の苦い記憶が少しずつおぼろげになってきても、恐怖だけは乗り越えることができなかった。
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