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「亜依さんみたいな子供はね、どこにでもいるんですよ。」
青木は背を向けて首筋の髪をかき上げた。後頭部の下には亜依に作ったようなスイッチに似た黒子が付いていた。
「僕は弱視ではありません。僕を作った人の力ではこの視力が限界だったようです。僕は不完全なクローンに人工的な方法を融合させてできあがったものです。僕も亜依さんのように親に殺されました。理不尽に人生を奪われた子供の細胞の一つだけでも楽にしてやりたい。そう願った人が、まだ微かに活動していた僕の細胞から今の僕を作り出しました。良かったら、亜依さんのお墓参りに連れて行ってくれませんか」
俺は何も言えず、その場に立ち尽くした。
(了)
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