殺し屋の俺と山岡

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 組織から山岡が高林の組織に寝返ったことを聞いた。そして高林の組織は山岡を使って俺を殺すことで俺が属する組織を潰すつもりらしい。  山岡は本気で俺を殺すつもりなのだろうか。俺は山岡を殺すしかないのだろうか。俺達はお互いに属する組織のために殺し合いをするしかない運命の二人なのだろうか。  俺が苦虫を噛み潰した思いに囚われている時に一本の電話がかかった。そしてメールが一通届いた。それから俺は山岡を狙える場所に移動した。  深い茂みの中に身を隠した。スコープから山岡の姿を捉えた。山岡もこちらを狙っていた。  そして俺は山岡より先に弾丸を放った。山岡が呻きながら後ろに倒れることを確認した。  俺はその時、周りを観察して動く気配を捉えた。そして、弾丸を麻酔弾から実弾に切り替えて撃った。  高林が血を吐いて倒れた。数分後、山岡はゆっくりと起き上がって笑顔を向けてくれた。  俺が移動する前にした電話は山岡からだった。高林は二人が殺し合う所を近くで見ている筈だと山岡は言っていた。本当に俺を殺せるだろうかと気になるはずだと山岡は言っていた。  まずは麻酔弾で山岡を殺したように見せかけて、その後で動きのあった方角に高林がいるだろうということだった。案の定、高林は近くの茂みで様子を窺っていた。高林の風体は山岡から写真を送られている。  俺達二人は生き残ることができた。遠く離れた距離に山岡はいたが、二人とも笑顔でお互いにこれからの活躍を願った。
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