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糖分全カットコップ
「どっちだっけ……」
店長が二つの同じようなコップを目の前に唸っている。売り物のコップと私用のコップがごっちゃになってしまったそうだ。
「どういう魔法雑貨なんですか?」
「注いだ飲み物を甘くなくする」
「じゃあ実際に飲んでみましょうよ」
そう言って僕はペットボトルの炭酸ジュースを取り出した。まだ口をつけてなかったからちょうどいい。オレンジソーダを半量ほど注ぐと、二つのコップは同じように輝いた。
「こんなのロシアンルーレットじゃん」
店長と僕はそれぞれコップを選び取る。
「せーので飲みますよ……せーの!」
ソーダを口に含む。よかった、甘い。と思った瞬間、目の前の店長の口から吹き出すオレンジ色の奔流。
「酸っぱ!!」
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