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ささやく朝顔のアーティフィシャルフラワーリース
店長が精巧な造花の朝顔をあしらったリースをドアに飾った。一応売り物だが、使用例として実際に飾っているのだという。自我を持つタイプの魔法雑貨で、近くに寄ると小さな声で話しかけてくることがある。掃除をすれば「きれいな部屋は好き」、帰るときには「お疲れ様」、接客が終わると「よく頑張ったね」といった調子だ。リースのささやきは、よくよく聞いてみれば前向きで思いやりにあふれている。
「いつもありがとう」僕がお礼を言うと、リースは密やかにはにかんだ。
「私の言葉で、人を元気づけられるように練習しているの」
かつて「心霊現象だ」「呪いの品だ」と忌み嫌われて売られたこの魔法雑貨に、いつか素敵な出会いがありますように。
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