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歌う星間定期券
月に住む職人に壊れた魔法雑貨の修理を依頼して、帰路についた。おつかいにしてはずいぶん遠くまで来たものだ。
地球行きの星間列車の中で、店長から借りた定期券をバッグから取り出す。くすんだ銀色のカードには、空色で「地球ー冥王星」と印字されている。何の気なしに字を指でなぞっていると、定期券から音が聞こえてきた。よく磨かれたグラスを鳴らすような、澄んだ音色だ。
「星の歌ですね。久々に聞きました」
乗車券を確認していた車掌がやってきた。
「そのカードは星の瞬きを吸収し、音として放出するんですよ」
窓に向かって定期券をかざすと、星々はさらに声を重ねた。
合唱は続く。僕らが星の海を渡り、故郷たる地球に戻るのを見送るまで。
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